AI導入で60名以上のライターチームが0人に、他2件のAIニュースを解説

AIツールを触る時間がない人でも、1〜3年先くらいまで関わってきそうなニュースを知り、AI時代を予見して行動できるようになるためのニュースレターです。#ホロチキ で感想を聞かせてください。
小橋川 遥(チキン) 2024.06.29
誰でも

『AI関連』とだけ決めて勢いで始めたこのニュースレターですが、当面のコンセプトを決めてみました。

「AI気になるけれど触る時間がない」と考える人が「1〜3年先くらいまで関わってきそうなニュースを知る」それによって「AI時代を予見して行動できるようになる」をコンセプトとします。

そんなわけで今日は、3つほど気になるニュースをご紹介します。

  • AI導入をキッカケに60人以上のライターチーム全員解雇

  • 「TIME」がOpenAIへコンテンツを提供する契約を締結

  • ベイジ扮谷さんの「生成AIの進化でウェブ制作会社が消える可能性があるという話」

AI導入をキッカケに60人以上のライターチーム全員解雇

60人居たライターがAIの導入をきっかけに編集長1人を残して解雇され、最終的に編集長までも職を失ったというショッキングな記事が話題になりました。

「AIは人間の仕事を奪う」が現実に起こってしまったんですね。アメリカのニュースですが日本で同様のことが起こってもおかしくありません。事態を時系列順にチェックしていきましょう。

時系列での出来事の変遷

2023年初頭

会社はコスト削減のためにAIの導入を開始。最初は見出しに基づいて記事のアウトラインを生成するAIが導入されました。ライターはこのアウトラインに沿って記事を作成し、ミラー氏が最終的な編集を行うようになったそうです。

数か月後

会社はChatGPTを導入し、記事全体の執筆をAIに任せるようになります。その結果、ミラー氏のチームのほとんどが解雇されることに。残った少数のメンバーは、ChatGPTの生成したテキストを編集して、より人間らしい文章にするという、創造性の低い仕事に従事することになりました。

2024年

ミラー氏のチームの残りのメンバーも解雇され、彼一人に。以前は数十人の従業員で行っていた仕事を一人でこなし、AIが生成した文章を編集して、より自然で人間らしい文章にする作業に追われるようになったそうです。

2024年4月5日

ミラー氏解雇。ミラー氏の仕事もAIで代替できると会社が判断したためです。

その後

ミラー氏は、AIが書いた文章を検出するのを難しくするソフトウェアを開発する会社に就職しました。

個人的に恐ろしいなと思うのは、ライターが解雇され始めてから1年以上が経過してやっと記事化されているという点です。「人を減らしました」という報告をわざわざ企業側はしませんから、内部告発という形で記事になっているのも恐ろしいポイントですよね。

日本でもすでに、数十人のライターチームが一人の編集長のみになっているなんてことが起きているのかもしれません。水面下で実は仕事が減っているのかもしれない状況だと思いながら、日々の仕事の取り組み方を考えなければいけないと気付かされたニュースでした。

「TIME」がOpenAIへコンテンツ提供する契約を締結

https://openai.com/index/strategic-content-partnership-with-time/

https://openai.com/index/strategic-content-partnership-with-time/

TIMEとOpenAIは、TIMEのコンテンツをOpenAIの製品と連携させることで複数年契約を結びました。この連携によりOpenAIは、過去101年間のTIMEの膨大なアーカイブから現在までのコンテンツにアクセスし、ユーザーの質問に対する回答として表示します。

いちユーザーとしては、海外の老舗メディアの情報がAIと結びついたからといって便利になる気はしないっていうのが正直なところです。それよりWeb検索とかともっとうまく連携してくれないかなぁと感じます。

じゃぁこのニュースのなにを注目するべきなのか、という話なのですが、それはTIMEにとってこの契約はどんなメリットがあるのかではないでしょうか。明記されているわけではありませんが、記事の内容から汲み取れるTIME側のメリットは次の3点でしょう。

  • AIを使ったニュース提供方法を考える際にOpenAIに相談できる

  • OpenAIの記事の引用方法について正式にいちゃもんをつけられる

  • 記事翻訳の手間をかけずともAIが勝手にグローバルに展開してくれる

メディア業界は神からWebへ媒体を移せたかどうかで、その後の発展が変わったみたいな話をよく聞きますが、TIMEはAI媒体のメディアのあり方を作る側にまわる。ということなのでしょう。

ライターとして業界に関わっている身としては、今後OpenAIとTIMEが作り出すAI時代のメディアのあり方は注目しておきたいところです。

ベイジ扮谷さんの「生成AIの進化でウェブ制作会社が消える可能性があるという話」

顧客の成功を共に考えるウェブ制作会社ベイジ 扮谷さんの記事「生成AIの進化でウェブ制作会社が消える可能性があるという話」が解像度が高い、わかりやすいと話題になっていました。

しょーご
@sho5_midday
わかりやすい
"ウェブサイトを作る行為は、現時点のWordやPowerPointと似たような存在になる"

生成AIの進化でウェブ制作会社が消える可能性があるという話
baigie.me/officialblog/2…
生成AIの進化でウェブ制作会社が消える可能性があるという話 | knowledge / baigie ホーム 生成AIの進化でウェブ制作会社が消える可能性があるという話 2023年、生成AIへの注目度が一気に上がったとき、 baigie.me
2024/06/26 21:45
0Retweet 0Likes
山口義宏 / Growth X と Insightforceの人
@blogucci
枌谷さんのシビアな考察のお話。立場によっては耳が痛い話もあるかと思いますが、理解して対処が早いほどいい話でもありますね。

生成AIの進化でウェブ制作会社が消える可能性があるという話
baigie.me/officialblog/2…
生成AIの進化でウェブ制作会社が消える可能性があるという話 | knowledge / baigie ホーム 生成AIの進化でウェブ制作会社が消える可能性があるという話 2023年、生成AIへの注目度が一気に上がったとき、 baigie.me
2024/06/27 00:10
8Retweet 21Likes

生成AIの登場でWeb制作会社はどのような変化が予想されるのか、そのとき働き手はどのように適応すればいいのか、そもそもこうした変化は特別なことなのか、そうしたトピックにご興味がある方はぜひ読んでみてください。

この記事の中で特に興味深かったのは、エンジニアやライターに比べてデザイナーは生成AIを気にしている人が少ない。という点です。

それだけデザイナーの業務は複雑性が高く今の生成AIでは対処しにくい、ということでもあるのだろう。
生成AIの進化でウェブ制作会社が消える可能性があるという話

扮谷さんは記事中でそのようにおっしゃっていました。そして、その記事が公開された同日に、プロも使うデザインツール Figma からAI機能の情報がリリースされました。

Figma Japan
@FigmaJapan
レイヤーに名前につけるのはやめましょう。Figma AIで、そして...

--> デザインの作成、で最初のドラフトを
--> ビジュアル検索で、実際のビジュアルや似ているアセットを検索
--> プロトタイプの作成で、デザインをプロトタイプ化
#Config2024
2024/06/27 02:04
154Retweet 952Likes

Figmaのデザイナーもブログを公開しており、そこには扮谷さんとは違った視点からAIとデザインの今後について詳しく考察されていました。

包括的なデザインルールのセットをそのままAIに任せることはできないことに気付きました。「良い」とは何かを有限のガイドラインに定義することが不可能なだけでなく、たとえそれができたとしても、トークンの制限によりAIに膨大なルールのプロンプトを提供することは技術的に不可能です。代わりに、あらゆるUIに対して一般的に真実である少数の強力なガイドラインに良いデザインの原則を削減する必要がありました。
What is good design in the age of AI?
ウェブサイトやアプリは無限に多様であるように見えるかもしれませんが、私たちが使用するソフトウェアのほぼすべては、いくつかの基本的なレイアウトに還元できることがわかりました。
What is good design in the age of AI?

デザインという仕事が複雑でも、分解するとパターン化されている部分があるとすれば、そのパターンの活用はAIの得意分野なのです。いいデザインを作る工程の中での特定のパターンに対して、AIツールがどんどん浸透していくような気がしてしまいます。

私はデザイナーではないので、このAIツールがどの程度のインパクトのものなのか実際のところはわかりません。しかし、現在AIライティングツールで70点のWeb記事が書けるように、AIデザインツールで70点のデザインがだれでも使えるようになるなら、3〜5年と言わずに1年ほどで僕のようなフリーランスがWebデザインも含めた仕事を探し始めるかもしれません。

その他注目のツールなど

未来に関わるニュースだけでなく、今すぐに使えるツールが知りたい! そんな方のために、いくつかツールやアップデート情報のリンクをご案内します。

▼Claude 3.5 Sonnet

▼AI搭載ノートブックツール「NotebookLM」

▼ダイアグラム生成ツール「Elaser」

今回お届けしたいニュースは以上です。

7月のAI界隈の予想

2024年6月現在、Claude 3.5 Sonnet の進化があまりにもスゴすぎて、AIをよく使っている人の間では Claude が一番優秀だと言われています。

かつての王者 OpenAI は、音声でAIとの自然に会話できる GPT-4o のデモで世間を騒がせましたが、まだユーザーが使えるようになっていません。

おそらくですが、このまま Anthropic に性能で負け続けるのは OpenAI としてはよくない展開だと思うので、おそらく急いで音声機能をリリースするんじゃないかなと思います。

AIと感情的な会話ができるのは7月かもしれないですね。

感想をお聞かせください

今すぐ使えるけれど3ヶ月後には古い情報になっちゃうようなAIツールの情報ではなく、1年後から3年後にじわじわ実感しそうなニュースを取り上げてみました。今回のトピックはいかがでしたでしょうか?

Xのポストや直接のDMなどで、ご感想を聞かせてくださると励みになります。質問や感想を送りたいけれど身バレがイヤだ。と言う方はマシュマロをご活用くださいませ。

不定期ではありますが、AI界隈のニュースをお届けするニュースレターは今後も配信予定です。時代を変えるような重要なニュースを見落とさないために、ぜひメールアドレスをご登録ください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

無料で「ホロホロチキン」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら

誰でも
AI社内推進は実現できる!物流企業DX担当「まつにぃ」さんがナレッジ管...
誰でも
SEO記事を誰でも無料で作れてしまうAI活用を大公開
誰でも
ちゃちゃっと図解を作れるAI、Napkin AIを使いながら解説!
誰でも
「生成AIって仕事で使っていいんですか?」に文化庁、総務省、経済産業省...
誰でも
ChatGPT #macOSアプリ試しました #OpenAI元取締役が...
誰でも
Vol.01 ChatGPTの”声”に米女優が大激怒_Geminiすげ...